『裁判所は生きていた』― いのちのとりで裁判大阪地裁判決の意義とコロナ禍における生活保護の役割 ― と題し、花園大学社会福祉学部の吉永純教授を講師に行われました。
初めに昨年から続くこのコロナ禍の特徴としてこれまでは存在はしていたが見えていなかった問題が露になってきたこと。とりわけ日本においてはひとり親女性、外国人、若者、個人事業主、非正規などで低所得者層ほど受診を控えざるを得なくなっている現状。健康や雇用、賃金減少の影響が大きいことについて事例を基にお話頂いた。
続いて国の対応と役割について、生活保護の現状から『自己責任の果ての生活保護ではなく、権利として、使いやすい生活保護へ』としていくことが必要であることを力強く語っていただいた。
そして、今年2月大阪地裁で「いのちのとりで裁判勝訴」の判決が出たことについて、これは朝日訴訟から61年ぶりの勝訴ということでとても意味のある裁判結果であること。この裁判がなぜ全国で闘われているのかということや争点である生活保護基準の引き下げ根拠の薄弱さ、また大阪地裁判決骨子に『基準の改定は、誰もが納得する数値や専門家の知識に基づくものでなければならない』とし、判決は『都合のいい数字を使って、生活扶助額を引き下げた国の主張を退けた。』とあることを紹介され、裁判における貧困概念を理解することの重要性を他の裁判結果をも例に挙げられて解りやすく説明された。
最後に、医療難民を出さないために無料低額診療事業の活用や命に直結する相談を受け、利用者の一番身近にいる支援者として私達ソーシャルワーカーに対して、とても期待して頂いていることをひしひしと感じた研修でした。
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